年間延べ約7千人の釣り客が訪れる「那覇一文字」への渡船が2024年10月から終了になるらしい。
那覇一文字への渡船が禁止になるということは、那覇一文字での釣りができなくなるということになります。
理由は2024年4月の「遊漁船業法(遊漁船業の適正化に関する法律)」改正によるものです。
那覇一文字は打ち込み釣りでのタマン狙いやフカセ釣りでの尾長グレ狙い等で非常に有名なポイントなだけに非常にショッキングなニュースです。
この記事では那覇一文字への渡船ができなくなった理由や経緯について説明します。
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遊漁船業法とは?
遊漁船業法(遊漁船業の適正化に関する法律)は、遊漁船業を営む者についての登録制度、遊漁船の利用者(釣り人等)の安全の確保及び利益の保護並びに漁場の安定的な利用関係の確保に資することを目的とした法律です。
法律の目的は第一条に規定されております。
第一条(目的)
この法律は、遊漁船業を営む者について登録制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うことにより、その業務の適正な運営を確保するとともに、その組織する団体の適正な活動を促進すること等により、遊漁船の利用者の安全の確保及び利益の保護並びに漁場の安定的な利用関係の確保に資することを目的とする。
簡単に説明すると、遊漁船業者が釣り人を沖堤防や沖合の釣り場に運ぶ際の安全管理、漁場の維持、自然環境の保護を目的とした法律です。
2024年の遊漁船業法改正の概要
2024年4月の遊漁船業法改正については水産庁HPで公表されていますが、遊漁船を利用する乗客釣り人に関係するポイントをまとめると以下の3点です。
①遊漁船業者による安全管理の体制が強化
遊漁船の事業者は、業務規程に以下の内容を明記し都道府県知事に届け出ることが求められるようになりました。
- 案内する漁場、利用者を立入禁止の場所に案内しないこと
- 緊急時の連絡体制
- 出航判断基準等
那覇一文字への渡船が禁止になったことは上記の「案内する漁場、利用者を立入禁止の場所に案内しないこと」に関連します。
そもそも沖堤防は人が立ち入ることを想定して造られているものではないので、特別に認められている一部の場所を除いては釣り禁止区域となっているはずですが、グレーゾーンとして釣りが行われてきました。
今回の法改正により、「利用者を立入禁止の場所に案内しない」旨を明記する必要になったため、立入禁止の場所(=那覇一文字)への渡船ができなくなったという理屈です。
遊漁船の事業者が業務規程に「利用者を立入禁止の場所へ案内しない」旨の記載をしない場合、都道府県
から修正等を求められることになり、それに従わない場合は、遊漁船業の登録の取消しとなる可能性があります。
また、業務規程に「利用者を立入禁止の場所へ案内しない」旨の記載をしたにもかからず、立入禁止の沖の防波堤に利用客を案内した場合、都道府県知事による業務改善命令を受ける可能性があるほか、仮に当該業務改善命令に違反した場合は1年以下の懲役若しくは 150 万円以下の罰金(又はその両方)が課せられる可能性があります。
- 10 月から全ての沖の防波堤に利用客を案内することが一律に禁止されるのか。
-
立入禁止になっている沖の防波堤に利用客を案内することは認められませんが、立入禁止になっていない沖の防波堤に利用客を案内することは可能です。
法改正により船の上で利用客の安全管理を担う遊漁船業務主任者の責務が拡充されたことに伴って、事業者が釣人を慶良間諸島等の磯に渡す場合、定期的な見回りなどを実施することが必要になりました。
②遊漁船業の登録要件が厳格化
遊漁船業の登録要件が厳しくなり、登録取消し処分を受けた者は、5年間は登録できなくなります(2年間から5年間に延長)。
また、利用者の安全確保等に関する業務規程の内容が基準に適合していない場合、登録・更新ができなくなります。
遊漁船を利用する乗客の安全確保のために、問題のある事業者の参入等を防ぐためです。
③遊漁船の安全に関する情報の公表
都道府県は事故情報や業務改善命令を受けた事業者情報をインターネット等で公表し、事業者は損害賠償
措置の情報や業務改善命令を受けて改善した内容等をインターネット等で公表します。
これにより、遊漁船を利用しようとする者は、安全性の高い遊漁船を選ぶことができるようになります。
遊漁船業法改正の理由・背景
遊漁船業法を改正するに至った理由・背景は何なのでしょうか?
●立入禁止の沖堤防への渡船が横行しているから?
●釣り人が立入禁止の沖堤防で釣りをしているから?
●これらを何度注意しても改善されないから?
実は上記の理由ではないんです。
直接的な引き金になったのは、2022年4月に発生した北海道・知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故です。
この事故の原因として、運行に支障が出る悪天候の中で出船した判断や、船体の点検・安全確認、緊急時の船上設備などの不備が問題として浮き彫りになりました。
このような事故の再発を防ぐため、事故の翌年、2023年5月の参院本会議において「遊漁船業者の安全管理体制を強化する」ということで全会一致、可決成立していたのです。
これが今回の遊漁船業法の改正へと繋がりました。
北海道・知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没
事故を踏まえて、釣り船や渡船など、客を釣り場に案内する遊漁船業者の登録・更新に関わる遊漁船業法が改正
法改正を踏まえた事業者の業務規定の提出は10月1日まで
遊漁船の事業者は「利用者を立入禁止の場所へ案内しない」旨の記載をした業務規程を10月1日までに都道府県に提出。
遊漁船業法改正による釣り人への影響
遊漁船業法改正により那覇一文字での釣りができなくなるため沖縄の釣り人にとっては大きな影響を受けることになります。
今まで那覇一文字で釣りをしていた人は新たなポイントを開拓する必要があり、沖縄県内の釣りポイント競争が激しくなることが予想されます。
ただでさえ、釣り人のマナーの悪さによって釣り禁止の漁港が増えてきている中、那覇一文字で釣りができなくなることは非常にショックです。
さらなる釣り禁止の漁港が増えないように釣り人はマナーを守って行動することが求められます。
渡船を使わない場合であっても釣りをする時はライフジャケットを着用しましょう!
今月も沖縄本島宜野湾市の漁港で釣りをしていた方が海に転落して死亡する事故が発生しております(この方はライフジャケットを着用していなかった)。
みんなが安全に楽しく快適に釣りをすることができるように、ルールやマナーを守っていきましょう!